愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
「それはない」
「じゃぁ、どうするの!」
真紀さんのスーツを掴む。
「私は真紀さんに好きな仕事をしていてほしい。例え才能があるって言われていても、やりたい仕事をしていてほしい。でも、別れたくない」
「里桜、俺だって同じ気持ちだよ」
宥めるように背中を撫でながら抱き締めてくる。
「籍入れちゃおうか」
どこか悪戯っ子のような口調で言う。しかし、それには首を横に振った。
「そんなことしたら、それこそ真紀さんの好きな仕事が出来なくなる。私は真紀さんの家族にも認めてもらいたいよ」
私の頭に顎を軽く乗せながら、「そうか」と呟いた。
「とりあえずは里桜。この件は俺に任せてくれないか」
そう微笑まれて、ゆっくりと頷いた。