愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
「うわぁ、ごめんね。大丈夫だった?」
藤堂先生から離れて、謝ってきた男性を見上げると申し訳なさそうに手を合わせていた。
背は藤堂先生に負けず劣らず高く、パーマがかったフワフワの茶色い髪に丸顔で目がクリッとしており、一言で言えば可愛らしい顔立ちの男性だ。
どちらかというと、この男性の方が小児科の先生っぽい。
「あの、大丈夫ですから」
「本当、ごめんね。まだ人がいるとは思わなくて。何? 真紀の彼女?」
「えっ!? とんでもない!」
慌てて大きく首を横に振って否定する。
すると頭上からため息が聞こえた。
「心、朝比奈は一応患者だから。変な勘繰りはよせ」
「えー、だってここ小児科だし、何より真紀が……」
と、何かいいかけ心と呼ばれる男性はしまったと言うように口を閉ざす。
藤堂先生が冷たい目で男性を睨んでいた。
「すみません。余計なことは言いません」
「で? 何しにきた? もう薬局閉めたのか?」
「閉めるのは他の人にお願いしたよ。それより、飯でもどうかなって誘いに来たんだ」