愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
「里桜が俺にやりたいことを諦めて欲しくないと言うように、俺も里桜には同じ思いなんだ」
「副主任のこと?」
「そう。だから、里桜には仕事を続けて副主任になってもらいたい。そして俺は、一度ボストンへ行こうかと思う」
真紀さんの言葉に驚きで声が出なかった。
ボストンに行かないと言っていたのは、ついこの間のことだ。
なのに、急になぜ?
「長い目で見たときに、今だけ親父の仕事を手伝って区切りをつけたら、またクリニックをやろうと思う。そうじゃないと、ずっと親父や医学会からの圧力があるままだ」
「どのくらい?」
やっと出てきた声は、涙で震えていた。