愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


「何するんですか」


大きな手の温かさに慌てて振り払おうとするが、私の力で出来ることではなかった。真紀さんは掴んでいた携帯の画面を睨み付けるように見ている。


「これはどういうことだ?」


画面は婚活サイトを開いたままだった。隠そうとするが、真紀さんはそれを許してはくれなかった。
その顔は睨み付けるでもなく、ただ真っ直ぐに私を見下ろしてくるだけだ。


「……真紀さんが、待たなくて良いって言ったんじゃない」
「……そうだったな」


消えそうな声でそう反論すると、あっさりと肯定される。ただ言葉と声と顔が一致していないようだけれど。


『ほら、マキ。やっぱり僕とボストンへ帰ろうよ』


ジョンは勝ち誇ったように私に鼻で笑い、真紀さんの腕を掴んだ。
真紀さんはその手をうっとおしそうに振り払うが、同時に私の腕もそっと放した。


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