愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~

「マキは天才だよ。さすが藤堂ドクターの息子だ。心臓の難しい症例のオペも、それらの研究も正直、藤堂ドクターの手柄にはなっているけれどマキがいたからできたことだ。そのマキが、この一年、寝る間も惜しんで研究を一気に進めた。なぜかわかるか?」


ジョンはまた唇を尖らせて私を見た。


「マキはリオのために、早く帰国したかったんだ」
「え?」


私が驚くと、気に入らなそうな顔でフンッと背けた。


「マキはいつもリオの話をしていた。待っていてくれるかわからないけど、待っていてほしいって」
「なに、それ……。だって、連絡を絶ち切ったのは真紀さんですよ」


何度もメールをしたけど、いつも素っ気なくて返事も遅い。最終的には送ったメールに返信が来なくなった。だからもう、終わりなのかなって思っていたのに。

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