愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


「おい、首が折れるぞ」


後ろからそう声をかけられ、頭をグイッと真っ直ぐに戻される。
心さんは口パクで「そういうところ」と言うが、私にはさっぱりわからない。
それもそのはずだ。
私はまだ出会って2日しかたっていないのだから。


「先生、痛いですよ。本当に首が折れたらどうしてくれるんですか」
「腕の良い整骨院紹介してやるよ」
「その前に死にますけどね!」


もう、と首を振っているとそこにサンドイッチが運ばれてきた。


「綺麗なお姉さんを連れている人がいると思ったら、藤堂先生じゃないですか」


料理を運んできた年配の店員男性は笑顔で藤堂先生に話しかけた。
綺麗なお姉さんだなんて、おじさん見る目あるわね。
なんて思いながら、「いえいえ」と照れていると藤堂先生が「あはは」と穏やかに笑った。


「松田さん、一度眼科に行かれることをお勧めしますよ。ところで、お孫さんはあれからどうですか?」


『院長 藤堂先生』の顔になり、笑顔で優しくて店員さんと会話する藤堂先生を恨めしげに睨むが無視される。


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