愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


「だからあんなに軽いんだよ」
「どうして軽いなんて思うんですか?」
「倒れたお前を運んだのは俺だぞ」


呆れたように言われて、そうだったと苦笑いする。
と言うことは、藤堂先生が私を抱き上げて運んでくれたということか。
どうやって? やっぱりお姫様だっことかで?
クリニックでよろけた時に抱き留めてくれた逞し腕を思い出す。
その場面を想像するとなんだか恥ずかしくなってきた。


「あ、里桜ちゃん。照れてるでしょう」
「て、照れてません」


心さんの指摘に、今度はサラダを頬張ることで再び誤魔化したのだった。






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