愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


三階の自分の部屋に入って玄関に背を付け、ホッと息をつく。


「びっくりした。怒られるかと思った。ていうか、見られるのが嫌ならあんなところで揉めないでほしいんだけど」


ブツブツと文句を言いながら、荷物を置いてベッドにダイブする。
後ろに一つにまとめた緩やかなパーマがかったセミロングの髪をゆるゆると解くと、さらに妙な拘束から解かれた気分になる。武装が解けたとでもいうのだろうか。


「お化粧、落とさなきゃ……。面倒くさいなぁ……」


疲れ切った身体はもう限界だった。
ご飯やシャワーもそこそこに身体は鉛のように布団へ沈んでいく。
そんななか、脳裏には先程の男性が浮かんだ。

でも、さっきの人……、イケメンだったな。

睨まれたけれど、一日の最後にあのルックスは眼福だったなとニヤリと笑い、そのまま眠りについたのだった。




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