愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
この薬局は、周辺病院の処方箋を受け付けているがここも患者さんに人気があるようだった。
心さんも癒し系のイケメンだ。お目当ての患者さんも多いのだろうなと納得する。
「さてと」
と、部屋に帰り夕飯を作り始めたところで手が止まる。
冷蔵庫に残っていたと思っていたお肉がなかったのだ。
「しまった……」と額を押さえた。
あると思い込んでいたが、実際は使ってしまったんだった。
「なんで? うっかり過ぎるでしょ」
忘れていたことに情けなくなりながらも、お財布を持って近くのスーパーへと買いに行く。
時々やってしまうんだよなぁ。食材や調味料がなくてもう一度買いにでることとか。
先ほどまでいたスーパーにもう一度寄り、お肉を籠に入れて他に買い忘れがないかを確認していると、突然耳元で「バランスよく食えよ」と囁かれた。
「ひゃぁ!」
突然のことで小さな悲鳴をあげながら振り返ると、藤堂先生がニヤニヤと可笑しそうに立っていた。