愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
「お前は? 自炊するの?」
「定時で帰れるときはしてますよ。ちなみに今日は肉じゃがです」
「マジか。いいな、肉じゃが」
定番だとか作れるのかよ、とか何かしらバカにされるかなと少し思ったが、予想に反して藤堂先生は羨ましそうな声を出す。意外な反応にこちらが驚いてしまった。
だからだ。
だから、つい。
「食べますか?」
気がつけばそんな言葉を口にしていた。
ハッと口を押さえ、聞こえてなければいいなと思ったが、藤堂先生はジッと私を見てから「いいのか?」と至極真面目に聞いてきた。
そんな顔をされると言ってしまった手前、断りにくいではないか。
「味の保証はできませんが」
その時、初めて藤堂先生の凄く嬉しそうな笑顔を見た。