愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
5
「朝比奈ー、このアルバム見るぞー」
「いいで……、あああ! だめ! それは見ないで!」
私の部屋でくつろぎながら高校の卒業アルバムに手を伸ばす藤堂先生に、菜箸を放り投げて阻止しに行くが寸でのところで開かれてしまう。
アルバムを取り返そうとするが、上手くかわされてしまい写真を見られてしまった。
「これ朝比奈か? へぇ可愛いじゃん」
「本当に恥ずかしいんで止めてください」
「バレー部だったんだ?」
「止めてくださいってば」
恥ずかしくて慌てて回収し、手の届かないような別の場所に置く。
「いや、マジで可愛いと思うよ。あんまり変わってないのな」
「どうせ童顔ですよ」
つい拗ねた口調になる。
平凡な容姿の私をお世辞でも可愛いと褒めてくれるのは嬉しいが、アルバムはやはり恥ずかしい。
「飯、まだ?」
「もうできます」
スーパーで買い物した後、肉じゃがが出来たら持っていくと伝えて部屋の前で別れたのに、先生は「腹へった」と15分程度で私の部屋にやってきたのだ。
「食ったら帰るから」
と、強引に部屋に入って現在に至る。
先生はシャワーを浴びてきたのか、上下スウェトに髪も降りており、いつもより少し幼く見えた。
なんだかいつもと違う雰囲気で戸惑ったのは秘密だ。
だからって、卒業アルバムは駄目だ。
「っつーか、なんで卒アルがあるの? 普通、実家に置いておかねぇ?」
「ひとり暮し始めたときに間違って荷物に入れちゃったんですよ。まぁいいか、で置きっぱなしです」
そう。荷をほどいてアルバムを見つけたときは驚愕した。
実家で荷造りをしているときに、懐かしいなと見たあとにうっかり段ボールに入れてしまったのだ。
そんな話ながら火を止めて肉じゃがをお皿に盛っていると、先生がやってきてそのお皿を自然に受け取ってくれる。