愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
血相変えている私を見て先生は眉を潜め、固い声で聞き返す。藤堂先生の姿にホッとして、ついその腕をギュッと掴んでしまった。
「どうした、朝比奈。何があった?」
「先生、助けて」
「え?」
助けて、なんて言ってしまったせいか藤堂先生は驚いたように目を見開き私の肩を掴む。
「落ち着け。どうした?」
その手の温かさに少しだけ落ち着きを取り戻すと、ことの顛末を話した。
「そういうことか。なるほどな、わかった」
藤堂先生は返事をすると、一度部屋の中に鍵を取りに戻り下まで降りてくれたのだった。