愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
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映画はすごく楽しくて二人で映画館ロビーで感想を言い合った。しかし、さすがにここでは邪魔だろうということになり、夕飯を食べながら話すことにした。藤堂先生とは好みの映画が似ているようで、感想の話からおすすめ映画や好きな映画の話になり、話題は尽きなかった。
映画館で見ることは少ないが、お互いに暇なときはDVDを借りて見るということも共通しており変な仲間意識が生まれた。こんなにも映画の話で盛り上がったのは久しぶりで、気が付けばあっという間に時間が過ぎていたのだ。
こんな感覚は久し振りだった。
帰り道も夕飯時のテンションのまま話しながら帰った。そのせいもあるのだろう。マンションへ戻り部屋の前までいくといくばくかの物寂しさを感じたが、そこは気のせいだろうと無視した。
お互いに玄関扉の前に立つ。
「それじゃぁ、先生。今日はありがとうございました。ごちそうさまでした」
「ああ」
そう挨拶をして鍵を取り出して玄関を開ける。そして、じゃぁ、と別れようとすると「そういえば」と先生が切り出した。扉を半開きにしたまま「ん?」と振り返る。先生は私の方に近寄り、壁にもたれながら聞いてきた。
「この前、心と一緒だっただろう?」
「この前? 心さん? ……あぁ」
偶然仕事帰りに会った日のことだろうか。思いつくのはそれしかない。
ということは、やはりあの時藤堂先生に見られていたのだと察する。一瞬、目があったように思ったのは気のせいではなかったようだ。
「たまたま会ったんです。忙しくなければ、ご飯でも行けたんですけどね」
「ご飯?」
藤堂先生が一瞬眉を潜めた。
「はい。良かったら、また三人で……」
そういいかけたその時。
「朝比奈」
先生が玄関扉に手をかけて私の肩を掴んだ。
と、同時に視界一杯に先生がうつり――――。
「んっ!」
気がつけば、藤堂先生に唇を塞がれていた。