愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


『デート終わりにはキスが定番だろ』なんて、意味がわからない。
定番って何!?
そんなの聞いたことないし!
藤堂先生のような女たらしには定番なの!?
それならそうと、先に言ってよね!
いや、言われたからといってそれはそれでとても困るんだけれど。

激しく鳴る心臓と混乱している頭でよくわからない悪態をつく。

だってどうして。


「どうしてキスなんて……」


この前から男を意識させたり、キスしてみたり……。
藤堂先生の行動がわからない。
なのに、なにより。
唇を指で触れる。まだそこには先生の余韻が残っていた。

先生が離れる瞬間、名残惜しいと感じてしまった自分がいたのだった。








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