愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


――――


藤堂先生とのキスは、衝撃が大き過ぎて私の心を大いに乱した。
別に初めてのキスというわけではないし、そんなの今さらという気持ちを持ちつつもその日の夜は寝不足になり、翌日の仕事にも小さなミスをおかす程には影響をきたしたのだ。


「朝比奈ー。ちょっとご飯付き合ってよ」


ついには昼休みに鈴木主任に呼び出しをくらってしまった。
いつもよりも遅いタイピングの手を止めて、その向けられた笑顔を受け止める。


「はい……」


鈴木主任の笑顔が怖いので行きたくありません、と言いそうになった言葉をゴクンと飲み込み私の方は引きつった笑顔で頷き返す。
食堂へ降りて、それぞれご飯を食べながら鈴木主任は口を開いた。


「何かあったの?」
「え?」
「珍しく小さなミスを繰り返すじゃない? 朝比奈らしくないよ」


優しく問われ、お説教ではなく心配させたのだと気づく。
こういうところ、本当に周りに慕われる理由だと思う


「その……何かあったかとというと、まぁ……」


藤堂先生とのキスを思いだし、ついため息が漏れる。


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