愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~

旦那さんと仲良しで恋愛経験も豊富な鈴木主任ならわかるだろうか。


「主任は、今の旦那さんと……その、初めてキスした時って気持ちが通じ合ってから、ですか?」


少しだけ声のトーンをさげ、しどろもどろになりながら尋ねると「そうだけど」とアッサリ返答される。

そうだよなぁ。
普通はそうなんだよなぁ。
返答を聞いてますます私は遠い目をしてしまう。


「何、好きでもない男にキスでもされた?」
「好きでもない?」
「違うの?」


私は藤堂先生のことが好きではなかったの? だからこんなに悩むの?
いや、好きではないことはない。
嫌いなタイプならあの一日が楽しいとは思わなかったはずだ。


「じゃぁ、好きな人?」


好きな人……、とも何だか違うような気がするんだけれど。


「……好きかはわからないんですけど、でも意識はしているかもしれないです」


恋愛感情があるかと言われると、そこまでではないような気がする。
でも男性として意識はしている。でなければこんなに悩むことはない。


「へぇ。そんな相手にキスされたんだ?」


そういわれてコクンと頷く。




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