愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
「こいつ、ここに初めて来る人にはいつもこのネタで驚かせるんだよ。ちなみに、このエプロンは心の私物だ」
藤堂先生は呆れながらもどこか面白がっている口調になっている。つまりは先生も分かっててやらせてたのか。
いつもこうして訪問者をからかっているのだろう。
「入れよ、朝比奈。心が飯作ってくれたから」
……本当に疑わなくていいのかな?
心に少量の疑問を抱きながら、「お邪魔します」と中へ入り驚いてしまった。
「なんで!? 隣なのに間取りが違う!」
足を踏み入れてその違いに慄いた。
私の部屋は1LDKでよくある独り暮らし用の間取りになっているのに、先生の部屋は部屋数も明らかに多くて通されたリビングも広い。キッチンなんてリビングに面したカツンターキッチンだ。
「そりゃぁ、真紀の家がオーナーだからね」
勧められた席に座りながら、きょろきょろとしている私に美味しそうな霜降り肉のすき焼きをテーブルに出しながら心さんがサラッと話す。