愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
心さんが作ってくれたからサラダと美味しい霜降り肉に舌鼓をうち、あっという間にご飯は綺麗になくなった。
ひとに作ってもらったご飯を食べるなんて久しぶりだ。
「心さんはいつでもお嫁に行けますね」
わりと真面目に感想を言うと、心さんはニヤリと笑ってグビッとビールを空にする。そして身を屈めて私を覗き込むように見てきた。
「今ならお買い得だけど?」
「間に合ってます」
ピッと手で制止、丁寧にお断りを入れる。
すると心さんは拗ねたように背もたれにしていたソファーにもたれ掛かりながら天井を見上げた。
「だって、真紀は俺のことお嫁にしてくれないしー」
「誤解を招く発言は止めろって。っーか、お前酔っぱらってきてるだろ」
藤堂先生は心さんの様子にチッと舌打ちを打って開けようとしていたビールを取り上げる。取り上げられた心さんは悲しげな瞳をしつつも、先生には効かないと悟りつまらなそうに床に寝そべった。
「心さん、お酒弱いんですか?」
「少なく見えるけど、こいつ飯作りながらすでに飲んでたからな」
それでは、酔うのも無理はない。しまいには心地よさそうな寝息をたて始めた。