愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
「あ、ありがとうございます」
お礼を伝えてチャームを受け取る。
そしてまさかと思い、恐る恐る聞いてみた。
「あの、これのために待っていたんですか?」
「ああ。誰が落としたのかもわかっていたし、丁度駅から来るのが見えたから」
駅から来るのが見えた?
位置的に駅から来るのが見えるのはクリニックからだ。でも、クリニックは閉まっている。
たまたまここら辺にいたのだろうか?
まぁ、とりあえずはいちゃもんを付けるために待っていたわけではなくて良かった。
ただの親切な人だ。
「なんだ……」
緊張が解けてホッとすると気が緩んだのか目の前がグラリと大きく揺れた。
「えっ、おい!!」
男性の声が聞こえたが、目の前が暗くなるまでには一瞬だった。