愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
キスの後もそうだったけど、こうしたパターン多いなぁと心の中でため息をつく。会いたくない時に藤堂先生とは会ってしまう運命なのか。
そんなのは嬉しくない。
お互いに無言でエレベーターへ乗り込むと藤堂先生が「ん」と左手の握りこぶしを差し出してきた。
「なんですか?」
手のひらを出すと、そこに拳の中のものをコロンと落とした。
よく見るとそれは小さなのど飴。
「飴?」
わけがわからず藤堂先生を見上げると珍しく困ったような顔をしている。
「悪かったな、この前」
この前とは、ご飯を食べたあの日を指しているということはすぐにわかった。
「悪かった」