愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
ドンドンドンと、玄関が激しく叩かれる音がしてビクッと目を覚ます。
何事かと見渡す部屋の中は薄暗くなっておりギョッとした。なんでこんなに暗いのかと慌てたが、時計が18時半を指していて納得した。同時に、朝から今まで熟睡していたのかと驚く。でもそのおかげか、朝よりもだいぶ身体が軽くてダルさが減っている。
ホッとしながら、ベッドから半身を起こして状況を理解している間も、玄関は何度も叩かれていた。
何? 誰?
うちはオートロックだから、住民以外の他者は入れないはず。
その激しい叩きかたに身を固くしていると、聞き覚えのある声がした。
「朝比奈! おい! 朝比奈!」
「藤堂先生……?」
藤堂先生の切羽詰まった声に驚きながらも、サッと身を整えてから玄関を開ける。
「先生、どうしたんですか?」
「朝比奈!」
私の姿を見て、藤堂先生がガバッと肩を掴む。そしてホッとしたような表情をしていた。