愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
部屋には廊下などなく、玄関を開けるとダイニングキッチンのため、振り返ると藤堂先生は冷蔵庫に差し入れをしまっていた。
その差し入れから、スポーツドリンクを私に手渡す。
「水分はよくとれ」
「はい」
言われた通りに、その蓋を開けて口に含む。
すると、自分でも気が付いていなかったが喉が乾いていたようで、あっという間に半分までイッキ飲みしていた。
「それでいい」
そう言って、おもむろに私の頬から首に優しく手を掛けた。
突然の藤堂先生の手にビクンと身体を震わせる。
「悪い、冷たかったか? まだ少し熱っぽいな」
藤堂先生は医者の顔をしながら、私の様子を観察している。触れられたことで一瞬で上がった体温に、藤堂先生はまだ熱があると思ったようだ。