愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


まさか藤堂先生が来るなんて思わなかったから、部屋の片付けも出来ておらず、頭を抱える。
連日残業で遅かったし、大して散らかっても居ないけれどとても綺麗というわけでもない。前にも部屋に来たことがあったけれど、やはりもう少しちゃんとしてから部屋に招きたかった。

しかも髪もボサボサで服だって適当なTシャツと短パンだ。

好きだと思う相手に見せる姿ではない。

ため息と共に体温計がピピッと鳴る。確認すると37.2℃で朝よりもだいぶ良くなっている。これなら明日には平熱に戻って会社にも行けるだろう。


「どうだ?」


音を聞き付けて藤堂先生が戻ってくる。布団で顔半分まで隠しながら、体温計を渡した。


「まだ微熱だな。飯、食えそうか?」


藤堂先生は私の返事を聞かずに、キッチンから作りたてのお粥を持ってきた。


「先生が作ったんですか?」


美味しそうな香りをさせている。器の中を見ると、ネギと玉子が入っていた。



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