愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
「覚えてたんですね」
「お前が連れてけっていったんだろ?」
そう可笑しそうに笑う。
あぁ、やばい。凄く嬉しくてニヤケそうになってしまう。
「7月頭に学会があって、しばらく出張になるんだ。それまでは俺も忙しいから、終わってからにしよう」
「学会があるんですね。じゃぁその間は、クリニックはお休みになるんですか?」
「あぁ。土日挟んで水曜まで休みになる。そのあと大抵患者が混むから、行けて中旬以降かな」
藤堂先生は少し考えるように腕を組ながら、大まかな予定を教えてくれた。
私もその位になれば、秋の企画もほぼ形になり、開催に向けてのスケジュールが出来上がっている。そのスケジュールが狂わなければ、企画立ち上げの今よりは少し落ち着くだろう。
「いいんですか?」
「約束は守る」
約束。約束したから連れていってくれるの?
いやいや、でも藤堂先生が私との話を覚えていてくれた。約束したからとはいえ、連れていってくれようとしている。それは、かなり嬉しい。
「楽しみにしています」
隠しきれなく笑顔でそう言うと、藤堂先生も吊られたように微笑んだ。