愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
11


藤堂先生との約束はそれはそれは私の大きな活力となっていた。仕事も自然と張り切っていたようで、鈴木主任はいつもニヤニヤと私を見ている。

先日、報告とお礼を兼ねてランチに誘うと嬉しそうに「私がキューピッドになれたようで良かったわぁ」と喜んでくれた。


そして、あっという間に7月に入った。
私のウキウキは益々大きくなっていく。たかがご飯。されどご飯なのだ。藤堂先生とふたりで行くことが楽しみなのである。


「ご機嫌だね」


仕事帰りに駅の近くのスーパーへ寄ると、後ろから声をかけられた。
振り返ると、心さんが微笑みながら立っている。その笑顔がなんだか懐かしく思えるくらいには会っていなかったなと思った。


「心さん! お久しぶりですね」
「こうして会うのはね。姿なら時々薬局から見えていたよ」


心さんの勤める薬局からは通りが見えるから、見かけることはよくあるのだろう。

< 99 / 262 >

この作品をシェア

pagetop