恋を知らない

「なに……あぅ……」

マリアの手で、再びそこをまさぐられていた。

言われて初めて気がついた。

つい先ほどセックスを終えたばかりだというのに、ぼくの下腹部は再び興奮しているのだった。

(どういうことだ?)

ぼくはいぶかった。

考えられることはひとつだけだ。「めぐみ」のことを思いだした、というそれだけで肉体的に興奮してしまったのだ。

(なんてことだ……)

自分がひどく下劣な人間に思えた。

心ひそかにかわいい女の子を思い出して、ほんわかした気分にひたっていた。ただそれだけなのだ。マリアとするように「めぐみ」とベッドを供にしたい、なんて全然思っていなかったのだ。

なのに、体が体を求めて勝手に反応していた。なんてイヤらしい体だろう。

(くそっ)

心の中で自分をののしった。

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