恋を知らない

昨日までは、くびれの目立つ胸の大きな女子大生ふうの女性だった。今つれているのは中学生くらいに見える、小柄でやせ細った女の子だ。

「なに? またチェンジしたの?」

「ああ、夕べからな。カナって名前をつけた」

なかばあきれて訊いたぼくに、キョウはこともなげに答えた。

前にも言ったように、ぼくたちは相方のマリアロボットを定期的にチェンジすることができる。ぼくはずっとマリアを相手にしているが、キョウはチェンジできる時期がくるたびに、相手を取り替えているのだった。

ぼくは改めて、カナと名づけられたマリアロボットを見た。

おかっぱ頭に丸っこい眼鏡をかけて、引っ込み思案そうな顔をしている。体は華奢で、細い脚は内股でX脚だ。一見すると中学生――それも低学年にしか見えない。

マリアロボットは作り物だから、それこそ小学生だろうが、60を過ぎた老婆だろうが、作ろうと思えば技術的には可能だ。しかし、倫理上の制約から、同棲相手は15歳以上という設定になっている。たぶん、このカナが下限ぎりぎりの設定なのだろうと思う。

「どうだ、かわいいだろう?」

キョウがカナを指して、胸をはった。

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