恋を知らない
「いやよ、シュウ、ねえ、ベッドでしましょう」
「つべこべ言うなっ。精子を出しさえすればいいんだろう?」
ぼくはどなりつけ、背後から無理やりマリアに攻めこんだ。
「ああぅ、シュウ……」
背中をのけぞらせて、マリアがうめいた。
(くそっ)
ぼくは胸の中で毒づいた。怒りのような黒く激しい感情に全身を支配されていた。
ぼくは街で見かけた女の子をかわいいと思うことさえ許されない。ぼくに許されているのは、こうしてマリアロボットとセックスすることだけなんだ。
相手がロボットであれ、本物の女の子以上に魅力的な女体とセックスできることを、うらやむ男子はいる。
だが、わかっちゃいないんだ。セックスできることと、セックスしなければならないことの間に、どれだけの暗闇が横たわっているのかを。
ぼくは腹の底からこみ上げてくる激しい感情に突き動かされ、壊れるかと思うほど乱暴に、マリアを責め続けた。