恋を知らない
「シュウ、女の子に幻想を抱きすぎよ。女の子は天使なんかじゃないわ。女の子はね、女なのよ」
嫣然とそう言い放つ彼女の言葉が、ぼくの胸に突き刺さった。
(わかっている。そんなことはわかっている)
と、ぼくは心の中で叫んだ。
(でも……わかりたくないことだってあるんだ)
ぼくの上に乗ったまま、マリアが体をくねらせ始めた。制服の青いブレザーを乱暴に脱ぎ捨て、プリーツスカートの裾を持ち上げて腰にたくし込んだ。裏返り丸まったスカートの下には、女の子の秘密の部分が露出していた。
彼女はそのままの体勢で、ぼくと結びつくために手を動かした。
「やめろぉっ」
叫びながら、ぼくは再び「めぐみ」のマリアを突き飛ばしていた。
また彼女が尻もちをつく。さっきよりもっとぶざまで、あけすけな格好だった。ただ、今度は、彼女は衣服の乱れを最低限だが整えた。
「どうしたのよ、シュウ? しようよ。しましょう。だって、シュウはこの体としたいんでしょ?」
「言うな。それ以上言うな」
ぼくはすっかり頭に血がのぼり、そばにあった丸いパイプ椅子を手に取って、立ち上がった。