恋を知らない
4 (回想)
マリアに初めて出会ったのは、高校にあがる少し前のことだ。
同棲相手のマリアロボットを決める必要があった。好みの女の子の顔や体つきを、サンプルを見ながら選ぶのだ。
ぼくはトラウムワーゲン社のショールームに連れていかれた。おびただしいサンプルのロボットがマネキン人形のように立ち並ぶなかを案内してくれたのが、今のマリアだった。
ぼくはサンプルではなく、マリアを見ながら訊ねた。
――あなたを指名することはできませんか?
マリアは少し沈黙してから、こう訊き返してきた。
――わたしはあなたから見るとおばさんよ。それでもいいの?
――ええ、かまいません。