恋人として貴方に最低限にできること
恋
っ…、いだぃ!
「元大…」
「父さん…大好き…」
父さん…痛い、やめてくれ、やめて…
やだっ…助けて…ねぇ…
「…はぁ…」
体が重い。
今日は朝から最悪だ。
…朝から風呂なんてやなんだよな……父さんのせいだ…
父の唾液に塗れた体を洗い流した朝風呂のあと。
一睡もできなかった。
唾液に塗れた自分の体を洗い流したくて泣きたくてうずうずして昨晩は父の腕の中で静かに眠ろうと努力をした。
父のしていることは立派な犯罪だと思う。
きっと児童ポルノや虐待やらなんやら…俺は詳しくないが沢山ひっかかるだろう。
今すぐにでもやめてもらいたい。
でも俺には、どうすることもできない。
嘘の言葉を並べて父の機嫌をとることしか出来ない。
情けないな…俺…
泣きたくても泣けない。
俺は男だから。
…大丈夫…俺はちゃんと和樹のものだ…。
父さんに和樹との関係を壊されることはない…
心に言い聞かせる。
俺は和樹の恋人だ。
ちゃんと愛し合っている。
だからこそ父に暴力を受けていることは伏せなければならない。
既に仕事に行った父の布団を睨む。
ピンポーン。
「元大〜。遅刻すっぞ」
ふと、時計を見上げる。
あっ!
「え!あっ、待って!」
今日も1日が始まる。
父さんのレイプから始まった新しい1日だ。
ろくなことがない気がする。
それでも和樹といれば、少しは安らぐのだ。
履き古したスニーカーを適当に履き、ボサボサの髪の毛を手ぐしで梳かす。
「ごめん、おはよう。」
和樹がおはよ、と短く返してくる。
ああ…、顔を見るだけで幸せだ。