私の心の中はいつだって真っ黒なのに
でもこの日は運が悪かった。


ちょうどリビングからお母さんが出てきたから。


そして刺さる様な鋭く冷たい目で、マイナスより冷たい声で


『アンタ、いたんだ』


そう私の心を刺すの。


そこからの記憶はない。


ただただ夢中で走った。


息ができない。


酸素が足りない。


胸が苦しい。


走ってるから?


違う、違う、違う違う違う!チガウ!!!

あの女の言葉のせいだ。

『アンタ、』



『“イタンダ”』




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