私の心の中はいつだって真っ黒なのに
そしたら案外早く来たミサキ。


『んだよ、急に呼び出して』


『可愛い可愛いお姫様からのお願いを叶えに来たんじゃん』



『……ヒナがなんて?』



『教えて欲しい?なら私の気持ちに答えてよ』



そう言った私の声は震えている。


このあとの言葉を知っているから。



『…ごめん。それは無理』



知ってるよ、何回目だと思ってんの?ずっとずっと私はただの幼なじみいや、ヒナを女子から守るための道具だもんね?



『フッ、ヒナからさっきメッセージが来たの。ミサキくんと早く仲直りがしたいんだって?』



『…そうか、教えてくれてサンキュー』




そう言って足早にどこかへ行こうとするミサキ。



『ねえ、ミサキ』


そう言うと振り向いた君。

その目には私なんて映ってない。



『いつまで、こんなことしなきゃダメなの?振るなら私との関係も切ってよ。ヒナとも関わりたくないょ……』




『…ごめん、 リョウにしか頼めないんだ』


こんな時だけ名前を呼び、こんな時だけ優しい目をする。



そして遠くなるミサキの背中。




『ホント…ずるいよ』






この声は誰にも聞かれず闇に消えた。
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