私の心の中はいつだって真っ黒なのに
けれど、ここのマスターが声をかけてくれたんだ。


『もう休憩は終わりだから店に戻って』

この一言でナンパ男はしぶしぶ帰っていった。

これがマスターとの出会い。

それから頻繁に私はここに来るようになり、少し親しくなったんだ。


『あ、リョウちゃん』

『なに?』

『明日は貸し切りなんだ、だから…』

『分かった、明日は来ないよ』

そう笑うとマスターも微笑んだ。


それからしばらくして店を出た。

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