海に願いを 風に祈りを そして君に誓いを
「あーもう、ほら……」

後ろから両肩をつかまれて支えられる。

「大丈夫って言ってんじゃん」
「うんうん、分かってる」
「何その言い方、むかつくんだけど」
「ごめんごめん」
「………」

何を言ってものれんに腕押しになりそうだったので、優海の胸を拳で殴ることで苛立ちを表現した。

「痛くない。いつもと全然違う。やっぱ元気ないんじゃん。ほんと意地っ張りだよなー凪沙って」
「………」
「行こう。これ以上悪くならないうちに」

有無を言わさぬ調子で話を切り上げると、優海は私の手首をつかんでゆっくりと歩き出した。

手をつながないのは、私に対する気づかいなのだろう。

分かっているのに、それを少し寂しく思ってしまう自分が嫌で嫌でたまらなかった。


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