海に願いを 風に祈りを そして君に誓いを
祭の前



朝食を終えて、おばあちゃんに「優海と会ってくるね」と伝えて家を出た。

昨日の別れ際に、優海に待ち合わせの場所と時間を指定されていた。

『作戦を立てよう』

今までに見た彼の表情の中でいちばん真剣な顔つきだった。

『その子が溺れた時間と場所、凪沙が見つけたときのこと、全部きっちり教えて。どうやったら溺れるのを阻止できるか、っていう作戦が大事だろ』

その作戦を練るために、優海の家に来てほしいというのだ。

うちで話をするとおばあちゃんに聞かれてしまうかもしれないから、という彼の気遣いだった。

『あと、もしも溺れちゃったときのために、助けるために必用なものとか揃えとかないと。作戦会議が終わったら、買い出しに行こう』

買い出し、という表現がおかしくて、私は思わず笑ってしまった。

『本当は今日やっときたいけど、タエさんが心配するから、凪沙はとりあえず帰らなきゃな。続きは明日の朝にしよう』

正直、優海がこんなにちゃんとリーダーシップをとれるとは思っていなくて、驚いた。

やるべきこと、必要なものを考えて、それを実行するための道筋を立てることができる。

のほほんとしていると思っていたけれど、本当はすごくしっかりしているのだ。

ずっとひとりで生活してきているのだから、当然かもしれない。


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