海に願いを 風に祈りを そして君に誓いを
洗い物が終わったところで、トイレを借りようと廊下に出た。

見ると、端のほうに埃がたまっている。

いつから掃除をしていないんだろう。

掃除機をかけながら、優海に言ったほうがいいだろうかと頭を悩ませる。

彼を鍛えると決めたからには、洗い物も洗濯も掃除もちゃんとしなさい、と言ったほうがいい。

でも、言われなくても優海が頑張っていることは私がいちばん分かっている。

そりゃあ少しだらしないところはあるけれど、今は部活でいっぱいいっぱいで家のことなどかまっている余裕がないのだ。

とはいえ、こんなに荒れた家でバランスの悪い食生活を続けるのは心配だ。

でも、あんまり口うるさく言うのもかわいそうだし……と考えが行き来する。

しばらく悩んだ末に、まあ汚くても死ぬわけじゃないし、という結論に至った。

とりあえず、最低限食生活にだけは気をつけるように言おう。

おばあちゃんの料理を届けたり、私も料理を覚えて作ってあげたり、できるところまではするつもりだけれど、あとは優海が自覚をもって気をつけていかないといけない。

< 50 / 241 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop