それでも僕は君を離さないⅢ
橋爪竜一郎は葉山の自宅へ帰る前に片付けたい1件があった。
出来れば電話で済ませたくなかったが、先方の都合を考え一旦メールを送信した。
すぐに着信があった。
それには短くこうあった。
「かしこまりました。」
橋爪は自分の執務の場である社長室の中をウロウロ歩き何やら考えた。
「よし。」
自分で自分に声を発し秘書を呼んだ。
ひと呼吸でノックの音がした。
「失礼いたします。お呼びでございますか?」
「立花くん、少し早いが車を頼む。」
「承知いたしました。」
秘書はすぐさま退室した。
橋爪は自分でコートを羽織り、いつもは秘書が肩にかけてくれたが、途中で寄りたいフラワーショップに電話をかけた。
「橋爪だが、これから寄るのでいつものを頼む。」
頭の中ではクリーム系にアレンジされた花束を想像しつつ、今夜直接これを手渡せる喜びにすでに浸りながら、「我ながら若いな。」と独りごちた。
再びノック音がして秘書が控え目に告げた。
「失礼いたします。お手配ができました。」
「ありがとう。」
橋爪はドアを支えた秘書に笑顔で声をかけた。
エレベーター前まで付き添う彼女の仕事は今日も完璧であった。
彼女は橋爪をのせたエレベーターのドアが閉まるまで、「お疲れ様でございます。」と言いながら丁寧に頭を下げた。
出来れば電話で済ませたくなかったが、先方の都合を考え一旦メールを送信した。
すぐに着信があった。
それには短くこうあった。
「かしこまりました。」
橋爪は自分の執務の場である社長室の中をウロウロ歩き何やら考えた。
「よし。」
自分で自分に声を発し秘書を呼んだ。
ひと呼吸でノックの音がした。
「失礼いたします。お呼びでございますか?」
「立花くん、少し早いが車を頼む。」
「承知いたしました。」
秘書はすぐさま退室した。
橋爪は自分でコートを羽織り、いつもは秘書が肩にかけてくれたが、途中で寄りたいフラワーショップに電話をかけた。
「橋爪だが、これから寄るのでいつものを頼む。」
頭の中ではクリーム系にアレンジされた花束を想像しつつ、今夜直接これを手渡せる喜びにすでに浸りながら、「我ながら若いな。」と独りごちた。
再びノック音がして秘書が控え目に告げた。
「失礼いたします。お手配ができました。」
「ありがとう。」
橋爪はドアを支えた秘書に笑顔で声をかけた。
エレベーター前まで付き添う彼女の仕事は今日も完璧であった。
彼女は橋爪をのせたエレベーターのドアが閉まるまで、「お疲れ様でございます。」と言いながら丁寧に頭を下げた。