それでも僕は君を離さないⅢ
「慎二、上へ行こう。」
「ああ。」
咲良は放り投げた慎二のカバンを拾おうとかがんだ拍子に、後ろにいた誰かを突き飛ばしてしまった。
正確には身体がその女性のバッグに当たり、中に入っていたボトルを地面にぶちまけてしまった。
ボトルはドンという衝撃でステンレスのボディーが凹み、運悪くフタが開いてお茶らしき液体がこぼれ一面に湯気が立った。
「も、申し訳ない。すみません。」
と咲良は謝りながら転がったボトルを拾った。
そばに突っ立った女性は先程の泥棒騒ぎで恐怖を感じていたのか、自分の身に起こったことに咄嗟の反応ができないでいた。
「咲良、この子。」
「えっ?」
慎二の声で慌てていた咲良はやっと気づいた。
毎朝コンビニの前で見ていた気になるOLだった。
「俺、弁償しますから、連絡先を教えてもらえますか?」
「いいえ、私も不注意でしたので。」
「こいつのせいだから弁償してもらった方がいいですよ。」
慎二が機転を利かせてすかさず言った。
「でも。」
咲良は素早く名刺を出した。
「ここの17階にいます。」
「ああ。」
咲良は放り投げた慎二のカバンを拾おうとかがんだ拍子に、後ろにいた誰かを突き飛ばしてしまった。
正確には身体がその女性のバッグに当たり、中に入っていたボトルを地面にぶちまけてしまった。
ボトルはドンという衝撃でステンレスのボディーが凹み、運悪くフタが開いてお茶らしき液体がこぼれ一面に湯気が立った。
「も、申し訳ない。すみません。」
と咲良は謝りながら転がったボトルを拾った。
そばに突っ立った女性は先程の泥棒騒ぎで恐怖を感じていたのか、自分の身に起こったことに咄嗟の反応ができないでいた。
「咲良、この子。」
「えっ?」
慎二の声で慌てていた咲良はやっと気づいた。
毎朝コンビニの前で見ていた気になるOLだった。
「俺、弁償しますから、連絡先を教えてもらえますか?」
「いいえ、私も不注意でしたので。」
「こいつのせいだから弁償してもらった方がいいですよ。」
慎二が機転を利かせてすかさず言った。
「でも。」
咲良は素早く名刺を出した。
「ここの17階にいます。」