それでも僕は君を離さないⅢ
晴れてアドレスが交換でき、咲良は意気揚々とオフィスへ向かった。

慎二は咲良の恋が実ることを願い、彼の肩に手を置いた。

「咲良、俺を引き留めたことで舞い降りたチャンスだ。」

「ラッキーすぎてヤバい。とにかくボトルは緊急に用意しないと。」

「なあ、せっかくのハンサムが台無しじゃないか。そのデレ顔は勘弁してくれよな。」

「ふふん、なんとでも言えよ。」

二人はそれぞれのデスクへ座った。

咲良は帰宅後特急便で受け取れるサイトから、女子ウケしそうなマイボトルをオーダーした。

白地に柔らかい色合いのルビーピンクで、ホィップクリームやらリップやらリボンやらが適度に描かれている有名メーカーの400mlタイプを選んだ。

壊してしまったボトルはごく普通のピンク一色だった。

優しいデザインのものをと一日中考えていた。

特急便の甲斐があり翌日マンションの宅配ボックスに到着した。

彼女に早く手渡したかったのでその夜メールを送信した。

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