それでも僕は君を離さないⅢ
次の日の出勤前にミネラルウォーターを喉に流し込んでいたらスマホが光った。
彼女だ。
こんな朝早くにメールではなく電話だ。
「樹里?」
「貴彦さん、私、会いたい。何度もメールしました。」
「ごめん。仕事にかまけて返信もできなくて。」
「いいんです。今、声が聞けたから。ありがとうございます。」
「樹里。」
「はい。」
「俺も会いたい。君と同じ気持ちだ。それを覚えておいて。」
「はい、覚えておきます。」
「ありがとう。じゃ、行くから。」
「お気をつけて、行ってらっしゃい。」
たった30秒足らずの通話だったが、二人にとってそれは他の何にも代えがたい濃い時間となった。
ステーキの約束から1ヶ月半も経ってしまった。
その間、彼女は一度も貴彦を責めなかった。
それどころか仕事の大切さや、上司とのスムーズな接し方や励ましの言葉が毎日メールに綴られていた。
地下鉄に揺られながら返信した。
「樹里、ありがとう。君には感謝してもしきれないほどの気持ちだ。ステーキの約束はまだ有効だろ?」
すぐに返信が入った。
「無期限です。」
アッハッハッハ!
貴彦は口元を手で押さえ、心の中で大いに笑った。
彼女だ。
こんな朝早くにメールではなく電話だ。
「樹里?」
「貴彦さん、私、会いたい。何度もメールしました。」
「ごめん。仕事にかまけて返信もできなくて。」
「いいんです。今、声が聞けたから。ありがとうございます。」
「樹里。」
「はい。」
「俺も会いたい。君と同じ気持ちだ。それを覚えておいて。」
「はい、覚えておきます。」
「ありがとう。じゃ、行くから。」
「お気をつけて、行ってらっしゃい。」
たった30秒足らずの通話だったが、二人にとってそれは他の何にも代えがたい濃い時間となった。
ステーキの約束から1ヶ月半も経ってしまった。
その間、彼女は一度も貴彦を責めなかった。
それどころか仕事の大切さや、上司とのスムーズな接し方や励ましの言葉が毎日メールに綴られていた。
地下鉄に揺られながら返信した。
「樹里、ありがとう。君には感謝してもしきれないほどの気持ちだ。ステーキの約束はまだ有効だろ?」
すぐに返信が入った。
「無期限です。」
アッハッハッハ!
貴彦は口元を手で押さえ、心の中で大いに笑った。