たとえば、君と
唐突にそんなことを聞かれて
きょとん、とする。

「何、好きな女の子でもできた?」
にやにやとからかうように
夏帆が笑う。
飲みかけの飲料を軽くゆらしながら、
今日のことを思い出す。

結局あのあと、送ると伝えたが
それはそれは丁寧に
申し訳なさそうに断られた。
なんでも、女の子と
遊びに行っている程に
なっているらしい。

怒られなかっただろうか。
次、遊びに行こうと言ったものの
宮原さんは本当に来てくれるだろうか。
「ん…、あんまり
心当たりないけどなぁ。」
「そう?

あんたも、お兄ちゃんの方も、
何か考え事あると
すぐそうやって
ベランダで考えるから。」

そうだっけ?なんて、首を傾げながら
缶の中の残りを一気に飲み干す。

おやすみ、と手を振ると
夏帆も手を振って窓を閉めた。
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