たとえば、君と
その日のロングホームルームは、勿論、文化祭のことだった。
例年、高等部2年は模擬店と決まっている。
「今年は、模擬店だろー。
何作る?」

たこやき?やきそば?
いやいや、焼き飯?

クラスのあちらこちらから声が上がる。
黒板には、わりとしっかりしたご飯ものの名前が並ぶ。体育会系が多いせいかもしれない。
「なんというか、こう、似た者同士になりそうだなー。」
「それなぁ…。なんかいい案ないの?セイヤ。」
一学年7クラス、つまり、当日は7店舗が出店されるのだが、商品が並ぶことはよくある。

どのクラスも売り上げ一位を狙って、試行錯誤を積み重ねるもので、味にとくに差はない。

「えー…。いつもと違う層狙いに行くなら、揚げアイスとか?」
いきなり振られた問いに、この前の水族館デートで宮原さんが言っていたことを思い出す。

──最近、この揚げアイス人気なんですよ。SNSにもたくさん投稿されてて。

何気なく発した提案だったが、思いの外ウケが良く、採用となってしまった。
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