たとえば、君と
「しかしまあ、よく思いついたな。妹でもいたっけ?」
偶然以外の何者でもないけど、客層に女の子が多いことからか、ふと疑問に思ったらしい。
「いないよ。…友達から、聞いたことがあっただけ。」
──え、彼女だったり?
からかう声を無視して、呼び込みを続けると、後ろから肩を掴まれる。
「セイヤ」
俺より少し背の高いそいつは、クラスメートの森田だった。森田の後ろには二、三人の同級生と、高校生の女の子達が数名ついてきていた。
「ナンパ?」
「人聞き悪いなぁ、気があうねって話してただけ。」
そう言って森田は爽やかに笑い飛ばす。だから、それをナンパと言うのだけれど。
「セイヤ、今から休憩だろ?一緒に回ろうぜ。」
そう言って、くい、と顎で集団をさす。
今から二時間の休憩だが、とくにやることもない。たまには、青春っぽいことをするのも悪くないだろう。

「オッケー。すぐ行く。」
すぐに返事をすると、次のシフトの子に看板を渡して、集団に入った。
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