たとえば、君と
駅までゆっくり歩けば15分。
まぁ、話が伸びそうなら
駅前のカフェにでも入ればいいだろう。

「あの、ごめんなさい。
急に押しかけてしまって。」

歩き始めてから
ずっと何か言いたげに
ソワソワしていた彼女が
やっと口を開いた。

「気にしないで。
それより雨大丈夫だった?」
「ええ、木の陰に居たもので。」
「クラスの奴ら、騒いでたよ。
S女のお嬢様だー、って。」
「えっ!そ、そんなことないです。」

彼女は恥ずかしそうに俯く。
だって、男子校だし、なんて
他愛もない会話をしながら
彼女の本題を待った。
< 9 / 37 >

この作品をシェア

pagetop