私の今は君だけのもの
夏のおとずれ
セミの鳴き声が目立ってきた今日この頃

高校生の私は朝から学校へ向かっていた

毎日毎日同じことの繰り返しで嫌になってしまう

特に、今日は行く意味が見いだせないくらいにめんどくさい

なぜなら成績が出てしまうから…

世間はまだまだ、ただの日常だけれど私たち学生にとっては最高の夏休み前日

大掃除に終業式にLHRの三時間

けれど行かないわけにも行かないのできちんと制服を着て向かう

「おはようなっちゃん」

「おぉ、おはよう、まいまい」

朝駅のホームで待っていたのは高校一年生の時に同じクラスだった桐野舞《キリノマイ》通称まいまい

みんながそう呼ぶから私もそう呼ぶことにした

毎朝一緒に学校に行く

待ち合わせとかしてるわけじゃなかったけど最寄りも同じだし流れで?

そしてまいまいが呼んでいたなっちゃんとは私のこと

夏之悠亜《ナツノユウア》

『なつの』なんて下の名前みたいなのが苗字だからかみんな夏とかなっちゃんとか呼んでる

下の名前知ってる人なんてほとんどいないんじゃないかな?

なんてことはどうでも良くて

2人でくだらない世間話でもしながら学校へ向かう

これもまた私たちにとっては日常

この時はこの生活に感謝するなんて思ってもなかった

日常が変わってしまうなんて、誰も思わないでしょう

まだまだ春が来たばかりだと思っていたのに、もうすぐそこまで夏は訪れていた

人生を左右することになる、出来事も出会いも、すぐそこまで迫ってきている
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