星降る夜空に祈りを込めて
透悟さんを見れば、とても苦しそうな表情。
「お互い言葉が足りなかったのかな。結婚している事を聞いていたら、あの頃私は貴方の誘いにも乗らなかったし、部屋にも入れなかったと思うけれど」
そう告げれば、透悟さんは苦い表情で頷きつつ返事をする。
「そうだな、佳苗は筋の通らないことは許せない質だと俺も知っていた。会うのが佳苗の部屋だったのは、佳苗の側が、佳苗の空間が俺にとって一番心地よかったからだ」
その言葉に、顔を見ようと動くと透悟さんは額をコツんと当ててきた。
「まさか、それが佳苗に、俺が佳苗を都合のいい女と考えてると取られると思わなかった。それを想像もしなかった俺は、本当に情けないな。しかも、会えば溺れるように抱いていたし」
大きなため息を吐くと、透悟さんは話を続ける。
「それは、誤解もするよな。あの時の俺は、佳苗が愛しくて、触れられないと気が狂いそうなくらいだったんだ。いい歳の大人のすることじゃないよな? でも、本当に大切でずっと触れ合っていたいほどに、佳苗を愛していたんだ」
反省しつつも、その時の事を話してくれる。
見つめる先の透悟さんは、しょぼくれた少年の様。
すっかり反省しているみたいだ。
そんな姿も初めて見る。
そんな様子の透悟さんに、私の胸はドキドキと加速していく。
この感覚を、私は知っている。
久しぶりの胸の高鳴りに、私は頬を染めてしまう。
それに、透悟さんは気づく。
柔らかな笑顔を浮かべて愛おしそうに、彼は私の頬に優しく小さく触れるキスを落とした。