星降る夜空に祈りを込めて
よくよく、日付を見ればそれは五年前の春先の日付だった。
そう言えば、その頃から離婚と仕事で忙しくなり佳苗とも会えず、連絡すらもままならない事が多くなった時期だった。
そして、たまに来ていた佳苗からのメッセージも途絶えたと、その後いなくなった時に振り返って思った時期と重なる。
「佳苗、コレは俺と佳苗の子か?」
俺の問いに、小さく首を縦に振る佳苗。
「そう、私と透悟さんの子。でも、そのエコーから三日で流産したの」
妊娠初期の流産。
それは母胎のせいではなく、この子自身に成長する力が無かったということ。
だが、妊娠に気付いていたのならその症状が出た時の彼女の心境は?
とてもじゃないが、俺には想像も出来ない程のダメージだったのではないのか?
その頃の佳苗は何事もないように仕事をしていたと思い出せる。
どれだけの悲しみと傷を隠していたのか。
しかもその後に、事故で両親まで失ったのだから。
「佳苗……」
呼びかけるも、俺はなんと言えばいいのか言葉が出てこない。
どうしたらいいのか分からず、それでも悲しげに笑う佳苗を抱きしめた。
「今も辛いままなのか? なにも気づいてやれなかった俺は、本当にどうしようもないな……」
そう呟くと、佳苗はこう答えた。