星降る夜空に祈りを込めて
「透悟さん。透悟さんが悪いところなんてないの。私がもっと、大事にしてあげられたら良かったのに」
そう、苦しそうに言う佳苗に俺はゆっくりと言葉をかける。
「佳苗は大切にしてたんだろう? なにも悪いところなんてない。きっとこの子はせっかちで、早く来すぎたから戻っただけさ。きっと、また来てくれる。そう思っちゃダメか?」
顔を覗いて言えば、びっくりという顔をした佳苗。
「そうね。そっか、この子は早く来すぎたから、出直してくるのね? また、来てくれるのね」
エコーを眺めて呟く佳苗の顔には悲しみは消えて、希望が溢れていた。
「あぁ、きっと帰ってくるさ。俺は佳苗を望んでいるし、佳苗との子も欲しいぞ。家族は多い方が、賑やかでいいだろう?」
「そうね、私が一人っ子だったから。二人は欲しいわ」
そう、ようやく久しぶりに笑顔で答えてくれた。
気付けなかった、佳苗の悲しみを共有してエコーを眺めて心から思う。
これで俺たちの関係が変われば、きっとそう遠くないうちにまた君に出会えるだろうと。
抱きしめた佳苗にたくさんのキスを落として俺達は、その悲しみから先へと目線を動かすことが出来た。
そんな、一夜になった。