星降る夜空に祈りを込めて
私の病棟は内科で、今は急患や状態の厳しい患者さんも居らず、その夜はルーチンの巡回で済んでいた。


珍しく静かな夜勤のその間にトイレに行けば、そこには予想した通りの症状がある。
私は一人、それを確認して少しの涙を流すと仕事に戻った。


朝の交代をしたあと、日誌などを片付けてその足で先日受診した個人医院へと向かう。


結果はなんとなく予測できていた。
それでも診察を受けるまではと、微かな希望を胸に秘めての受診。


結果は予測していた悪い方……。
微かな希望なんてありもせず、私はその日そこに居たはずの小さな命が居なくなったことを突き付けられた。


分かっていても学んでいても、私のなにが悪かったんだろうと思わずには居られずに、涙は枯れることなく流れ続けた。


そうして涙に暮れたまま、私はその日気を失う様に眠りについた……。


翌朝起きると酷い顔をした私が居た。


これはどうにかせねばとギリギリまで目元を冷やしてなんとか赤みが残る程度になると、メイクをして仕事に向かう。


今日は日勤だ。


仕事に行くと同僚の真奈美がびっくりした顔を向ける。


「佳苗、どうしたの?!」
「あはは、感動映画観て泣きすぎちゃった!」


そう明るく言えば、真奈美は心配顔からあきれ顔になって言う。


「もう、何事かとびっくりしたわ。そういうことなら平気ね? 今日も頑張ろ!」


そうして、私はなんとか仕事をこなす日々を送っていた。
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